拡張する布との関係性
runurunuは、当初衣装やファッションアイテムの制作から活動を始めました。近年では、その独自の造形表現を布を用いたソフトスカルプチャー、インスタレーション、パフォーマンスへと広げています。素材とrunurunuの間で繰り返される偶然と再現の往復運動から生み出される複雑なパターンは、突然変異と増殖を繰り返す生命体のような美しさを備えています。

生命の進化をなぞるような作品の変遷
これまでの作品を辿ると、人体を起点とした「服」から始まり、やがて人体から離れたインスタレーションへと展開しました。タツノオトシゴとそのジェンダーをモチーフにした作品や、放射相称状の作品などがその例です。さらに、機械やテクノロジーも生物の一部として捉え、私達の皮膚に身近な布と統合した新たなソフトスカルプチャーへと至っています。その豊かな展開は、runurunuの手によって生命の多様な進化のプロセスが辿り直され、未知の領域へと広がっていく光景を目撃しているかのような驚きを与えます。


新作が問い直す「人間」という観測地点
多様な形式を横断してきたrunurunuですが、本展では改めて私たちが「人体を有している」という事実に立ち返ります。そして、「人間のスケールでは扱いきれない現象」を、「人間のスケールでしか処理することのできない身体」を通して経験することに焦点を当てた新作群が発表されます。新作の一つである〈rs〉は椅子型の作品で、鑑賞者が実際に座り映像を眺めることのできる構造を持っています。前方に展示される映像作品〈ga,〉は、ジョルジュ・バタイユの「太陽肛門」から着想を得ており、太陽のプロミネンスや日蝕、そしてその観測地点に焦点を当て、真偽を交ぜて制作されたものです。本展に関してrunurunuは「人間とは何か、ではなくどのような配置が人間という像を生じさせるのか。観測位置の一つとしての人間と不可視の存在を探る。」と語っています。




2021年に制作されたא(アーレフ)という作品を転機に人体構造から遠ざかっていたrunurunuが、新たな視座を携えて再び“人体”のスケールに向き合う現在地を、ぜひご覧ください。
展覧会概要
展覧会名:א (アーレフ)
会期:2026年2月27日(金)–3月29日(日)
会場:デカメロン
住所:東京都新宿区歌舞伎町1丁目12-4
営業時間:20:00−27:00
休廊日:月曜日
デカメロンについて

「デカメロン」は、2020年に新宿・歌舞伎町の中心地に開廊したアートスペースです。店名は、1348年からヨーロッパで猛威を振るったペストの様子を綴ったボッカッチョの物語集『デカメロン』に由来します。2階が展示スペースとなっており、1階のバーは、展示鑑賞前後にアーティストや観覧客が交流するコミュニケーションスペースとして機能しています。2021年4月にはギャラリースペースの増床が行われ、実験的な現代アートの展覧会が継続的に開催されています。
関連リンク
デカメロン公式サイト: https://decameron.jp/
デカメロン公式Instagram: https://www.instagram.com/decameron_kabukicho/


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